男の扱いに慣れている佐知子は、俺の目を見て、何かを感じた。
「別れ話?」
足を止めて、責めるような口調でそう言った。
「離れている間、お前がどんな生活をしていたか、俺は知らない。でも、俺だけを想っていたなんて、俺は思えない。やっぱり、離れていても、一緒にいても、信じることができない。」
陽菜が現れる前からそうだった。
心のどこかで、あきらめていた。
佐知子は、俺じゃない誰かと一緒にいるんだろう、なんて感じていながら、それを止めようとも思わなかった。
「晴斗・・・私ずっとあなたを想ってた。あなたが何をしているのかいつも気になっていた。だから、この前も電話したのに・・・」
佐知子は、目に涙をためていた。
でも、陽菜の涙とは違う。
俺の心に語りかけてくる涙ではない。
俺は、ドアをしめ、少し歩いて、椅子に腰かけた。
佐知子はその隣に立ったまま、俺を見つめた。

