「おう、陽菜はもう帰ったか?」
俺は、数人の学生の中に混じって、優雅の隣を歩いた。
「呼んで来ましょうか?まだ教室にいると思います。」
優雅は立ち止まって、周りにいる友達に先に帰ってくれと言った。
惚れた女が追いかけている男に協力してしまう優雅は、お人良し過ぎる。
顔に優しさがにじみ出ているようなヤツ。
超イケメンなのに、ほんわかしていて、話しやすく、親しみやすい。
「頼みがあるんだけど・・・」
俺は、優雅に今からしばらく陽菜を教室から出さないように頼んだ。
そして、音楽室の場所を聞き、高校の中へ入ることにした。
優雅は、俺が音楽室を探していると言うと、不審そうな顔をした。
優雅は、本当に陽菜を想っているんだとわかる。
俺が、どんな男なのか、必死で俺を観察していた。
俺が何の為に音楽室へ行こうとしているのか、優雅は聞かなかったが、優雅の目を見れば優雅の言いたいことがわかった。
「心配してんのか?俺、ちゃんと陽菜を選ぶから、安心しろ。陽菜のこと泣かせないから。」
俺がそう言うと、優雅は少しホッとした表情になった。
おかしいだろ?
ライバルだぞ、俺は・・・
陽菜は、こんなにも優しい優雅を振って、俺を選んでくれたのか。

