まだ陽菜は恋愛で苦しんだり、傷付いたりしたことがないらしい。
今も十分傷付けているのに、陽菜は「王子を好きになってから楽しい!」なんて言うんだ。
これ以上陽菜の気持ちを俺に留めておくことは、いずれ傷つけることになってしまう。
彼女にしてやれないのなら、俺は陽菜に嫌われなきゃいけない。
俺は陽菜と会わないことに決めた。
なのにさ・・・
俺は、寂しくて仕方がなかった。
市役所の窓から高校の校舎を眺める時、いつの間にか、俺は佐知子じゃなく、陽菜を想っていた。
陽菜を探していた。
陽菜の声を思い出していた。
陽菜を好きだと言う男が、陽菜と仲良く話している姿を見ると、ムカムカしてきて、そいつを殴りたいと思った。
佐知子と距離を開けていてもこんな気持ちにはならなかったのに、陽菜と距離を開けてからは、自分がどんどんおかしくなっていった。
俺が将来結ばれるのは佐知子なはずなのに、俺の心の中は陽菜だらけになっていた。

