最初はな、本当にそんな気はなかった。
あまりにも好きだと言ってくれるから、少し優しくしただけ。
優しかったかどうかはわからない。
俺って言い方冷たいし・・・
父さんが小さい頃に亡くなったから、俺は父さんの愛の示し方を知らない。
母さんは、「お父さんは優しかったの」と言うけれど、俺は優しい父さんの姿を覚えていない。
父さんがどのようにして母さんを愛していたのか、優しくしていたのかを見ていないんだ。
だから、俺は女性に対して、どう優しくしていいのかが、イマイチわからない。
いじわるなことを言って、誤解されてフラれたこともあるし、
女心がわからないと、殴られたこともある。
優しくするってことが俺には難しい。
優しい言葉をかければいいのか、優しく触れればいいのか・・・
でも、そんな俺の不器用な愛の示し方を、陽菜は理解してくれた。
俺がうまく伝えられない気持ちを陽菜はわかってくれた。
俺が優しくしたいのに、できない時・・・陽菜は「王子優しい!」って俺に言った。
優しくね~のに。
いじわるばっか言って、結局思わせぶりなだけで、陽菜を彼女にしてあげることもできないのに。
それでもいいと陽菜は言う。
一緒にいられるだけでいいと言う。
佐知子と俺が幸せになることが嬉しいんだと、陽菜は無理して笑う。

