佐知子は、きっと誰か他の男と適当な恋愛をしているだろう、と、いつも思っている。
でも、最後には俺が受け止めよう・・・なんて変な愛情。
楽だけど、寂しい毎日だった。
市役所の窓から、佐知子の働いている高校が見えるなんて、皮肉なもんだ。
俺は、佐知子へのぼんやりとした愛情を感じながら、高校の校舎を眺めるのが日課だった。
薄れていく愛情を取り戻す為だったのかも知れないな。
毎日毎日高校を見ていると、バカそうな学生が、だるそうに授業を受けているのが見える。
教師が授業をしているのに、どの生徒も眠ったり、喋ったり、窓の外を見たりしていた。
そんなある日、俺が非常階段でタバコを吸っている時だった。
一番端の教室の窓から、俺を見ている女の子がいた。
普通の女子高生。
特に派手でもなければ、真面目そうでもない。
相当暇なようで、ずっと俺から目を離さなかった。
チクられるとやべ~と思って、俺はすぐに非常階段を駆け上がって上の階に移動した。
それなのに、その子は、俺が移動してもまだ俺を目で追っていた。
遠くて顔ははっきり見えないけど、俺はその女の子を記憶していた。
肩までの髪、
いつも笑ってる、
赤い筆箱を持っている、
俺をいつも見てる子。

