音楽を諦めた俺の前に現れた佐知子。
ピアノが上手で、大学でも有名だった。
推薦で、海外に留学までしていた佐知子は、才色兼備で、みんなの憧れだった。
俺が結婚を焦っていたのも、やっぱり母さんを安心させたかったからだった。
今となっては、俺自身は結婚なんて特にしたくはなかった。
頭も良く、気立ても良く、才能もある佐知子を・・・
今、自分のものにしておかないと、後悔すると思った。
だから、俺は焦っていた。
でも、結婚なんて、そう簡単にできるもんじゃねぇ。
今から思えば、結婚しなくて良かった。
俺はそんなに佐知子を愛してはいなかったんじゃないか・・・
佐知子の親に結婚を反対されていると聞いて、俺は少しだけ肩の荷が下りた気がしたんだ。
どうしても説得したい、どうしても認めて欲しいって熱くなって、佐知子の家へ飛び込んで行く勇気はなかった。
疲れていた俺に言い訳ができた。
そして、俺と佐知子は3年間離れるという道を選んだ。

