私は小早川先生に、家庭の事情や、今の恋人である信二とのことを話した。
晴斗のことはなぜか話さなかった。
そこが私のだめな所。
何かを期待していた。
優雅がいなくなった今、学校で私を支えてくれる男性はいなかった。
私は小早川先生に、酔ったふりをして、もたれかかった。
「先生・・・私、結婚したくないんです。彼を愛していないのに。」
小早川先生は、彼女がいない。
小早川先生は口が堅い。
小早川先生は、優しかった。
晴斗がいない時間を埋めるには、誰かが必要だった。
そこに愛がなかったわけではないが、一番に昇格する可能性はゼロだった。

