優雅が留学をしたのは、私のせいだろうか。
とても悩んだ。
それでも、私はまた罪を犯した。
信二との結婚話が、どんどん進んで、私はどうしようもなくイライラしていた。
必要な男だけど、愛してはいない。
そんなある日、同僚の小早川先生が私の異変に気付いた。
あれは、半年ほど前のことだった。
職員室で、机の上のガラスのコップの中をじっと見つめていた。
炭酸の泡が、生まれては消え、また生まれる様子をただ見ていた。
「大丈夫?新井先生・・・何か悩み事でもあるんじゃないですか?」
古典の小早川先生は、真面目そうで好感を持っていた。
私に慕ってくれる女子生徒の中にも、小早川先生を好きだという子がいたので、私も少し気になっていた。
特別かっこいいわけではないのに、醸し出す雰囲気が何とも言えず、優しくて、落ち着いた人だった。
その日、相談に乗ってくれると言うので、2人で飲みに行くことになった。
それが、私と小早川先生との始まりだった。

