「おい、さっき佐藤泣いてただろ。」
休み時間に、宿敵のライバルであり、弟でもある悟に声をかけられた。
弟とは言っても、今では何の関係もないが・・・
まさか、悟が陽菜ちゃんを好きになるとは・・・意外だった。
彼女に振られてあんなに大泣きしていた悟が、こんなに早く復活するなんてな。
「今日は、そっとしといてやろうぜ。お前も気持ちわかるだろ。」
俺がそう言うと、珍しく悟は神妙な顔つきで頷いた。
放課後まで一言も話せないままだった。
俺は、清水さんの代わりにはなれない。
だけど、陽菜ちゃんの幸せを祈る気持ちは誰にも負けないから。
俺は誰もいなくなった放課後の教室で、窓から外を眺めていた。
「優雅・・・?」
誰かに声をかけられた俺は、ゆっくりと振り返る。

