「陽菜・・・」




王子は息を切らせて、私を追ってくれた。



「泣かせてごめん。俺、迷惑とか思ってないから。陽菜と話すのは楽しいし、できればずっとこうしていたいって思うんじゃ・・・でも、お前を彼女にしてあげれんなら、俺は離れた方がいいと思った。」






王子、伝わるよ。


王子の優しさ。

ぬくもり・・・





しばらくの沈黙の後、やっと声が出せた。





「あり・・・がとう。すっごい好きだけど・・・晴斗さんを困らせたり悩ませたりするくらいなら・・・私、あきらめます。だから・・・また遊んでくださいね。」




王子の抱きしめる力がどんどん強くなって、私の涙の勢いも激しくなった。





「陽菜・・・俺、ガキに惚れてまいそうで・・・怖いんじゃ・・・お前の真っ直ぐな気持ちに応えたくなる。でも、無理・・・ ごめん。」




その言葉だけで充分だった。



王子が、「惚れてしまいそう」って言ってくれただけで満足。


好きになるのが怖いと言った王子は、私を好きになってはいけない状況にいるんだと思った。



彼女がいるとか、実は結婚してるとかいろんなことを考えたけど、王子を好きだと言う気持ちは変わらなかった。




「ありがと・・・晴斗さん。」