「晴斗さん、私は晴斗さんにとって、何ですか?」
こんなこと聞きたくなかった。
終わりたくないから、ずっと聞けなかった。
でも、今しか聞けない。
「いつか聞かれると思ってたけど・・・辛い質問じゃ。俺自身にもわからんから。同じように俺を好きだと言う山田さんには、こんな感情はない。陽菜がどうしてるかっていつも気になる・・・」
王子は、息を吐きながら、ゆっくりと立ち上がった。
そして、灰色の天井をじっと見つめて、何かを考えているような顔をした。
私も同じように天井を見つめた。
王子が、天井を見上げる私の顔を見た。
じっと目を見つめてきて、私はキスの予感がした。
唇が近付いた。
どういう意味のキスでもいい。
王子と触れ合いたいと思った。
彼女になれなくて、王子の心の中に「キスをした女性」として、残ることができる。
「できんな・・・ごめん。陽菜が大事じゃ・・・それは、嘘じゃない。キスしたいって思う。でも、お前が俺のこと好きなら、よけいにできん・・・」
「王子・・・」

