姿が見えるのは9時を過ぎてから。


私は期待せずに市役所を眺めた。




見るんじゃなかった。



汗かき王子も

プリンス優雅も

もうどうでもいいって思ってしまった。




灰皿王子が、窓辺に立っていた。


何かを指差して、笑っていた。


こっちを見ているようにも見える。




隣には、あの女がいた。



あの喫煙女…




ただの同僚?


タバコ仲間?





遠いけど、会話が聞こえてくるようだった。



『見てみろよ!あの高校。だるそうに生徒がこっち見てるぞ!』



『あはははは、本当だ。こっち見てるね。あんたに惚れてんじゃない?』



『まさか!俺、ガキに興味ないし。』



『そう?私より若いわよ。』


『俺はお前だけだって!』







妄想の中では

すでに2人は付き合って1年ほどの関係。