山田は、正式に彼女と別れ、その噂が広まったことで、山田の人気も入学当時くらい復活した。



何人かの女子が、山田に告白したんだと優雅が教えてくれた。



山田はすっかり立ち直ったように見えるけど、新しい彼女を作らないところを見ると、まだ引きずっているのかも知れない。



「あのさ、佐藤・・・ 俺と付き合わない?」



目がテンになった。


山田が?




山田は、どう考えても私に興味がないように見えた。


あるとしたら、亜沙子と山田かなって最近思っていたくらい。



「へ???」



「だから・・・俺と付き合わないかって言ってるんだよ。俺、お前のこと好きみたいなんだ。もう、あいつのことは忘れろよ。」



山田は、市役所の方をチラっと見て、もう一度言った。



「俺じゃ、だめかな。」



こんなに驚いたことは初めてだった。



優雅の告白は、驚かなかったけど、山田から告白されるなんてこれっぽっちも予感がなかった。



「答えは急がないからゆっくり考えて。じゃあな。」