山田の言っていたことが気になるけど・・・ここで、そんなことを確かめても、辛いだけ。




今、私の目の前で笑ってくれる王子を信じよう。


心の中に誰かがいたって仕方がない。


今、この瞬間は、王子は私を見ていてくれる。




「今日は、反省会で飲み会あるから送っていけんから・・・明るいうちに帰れよ。」



王子は、すぐに酔うけどすぐに覚めるタイプらしい。



「また・・・会ってくれますか。」




こんな質問をしてしまった私に、王子は首をかしげた。




王子は、ポケットから目薬を出した。




「はぁ、コンタクトは目が乾くから嫌なんじゃ・・・」




目薬をうまく落とすことが苦手な私は、王子の目薬テクニックに感動していた。




「王子・・・目薬差すの、うまいです!」




「はぁ?あほか~!目薬うまいって言われてどう答えたらいいんじゃ。まぁ、うまいのは、目薬だけじゃないけどな。試してみる?俺のテクニック・・・」




王子の酔いはまだ覚めていなかったようだ。



ニヤっと笑った王子が私の左手をグイっと引っ張った。




そして、その手を・・・王子の目に!!!



「俺の涙、あげる。」


私の左手の甲には、王子の目薬入りの涙が・・・