私は王子に渡された1000円札を握り締め、喫茶店に入った。
窓の外を何気なく眺めながら、王子に抱きしめられた記憶を思い出していた。
その時、スラっとした長身の男性と女性が腕を組みながら歩いている姿が見えた。
大人っぽくて、素敵なカップル・・・なんて見とれていた。
ふと、男性が横を見た。
「ぶはっ!!!」
飲みかけた紅茶を吹き出した私は、慌ててハンカチで顔を押さえた。
私の目に飛び込んできた、爽やかな笑顔の素敵な男性は・・・
プリンス優雅だった。
私の知っている優雅の顔じゃない。
大人で、完璧で・・・手の届かない場所にいるような雰囲気だった。
隣にいる女性は、髪の色が明るかったせいか、ハーフに見えた。
イタリアに留学していた優雅が、外国の人と付き合っていても不思議はない。
でも、昨日告白されたばかりの私としては・・・少し複雑だった。
優雅が実は遊び人で軽い男だとしても、困るわけじゃないけど、少しショックだよね。
友達として、クラスメートとして、優雅は大事な存在だから。

