「…あ、あの!」 陰から見守っている潤に背中を押され、織部先輩へと話しかける。 「……誰?」 振り返った先輩は、案の定ずしりと深い言葉を私に突き刺した。 「2年5組の熊沢莉乃って言います!」 「…ふーん。で?」 薄い反応と共に次の言葉を急かしてくる。 きっとここで「好きです!」とかって言うべきなのかもしれないけど。 そんな勇気のない私は慌てて口を開いた。 「た、たまに話しかけさせてください!!」