「た、武井くん、ちょっといいかな!?」

「え、あ、熊沢さん」


いきなり話しかけられて驚いている武井くんだけれど、ごめんね、今はそれどころじゃないんだ。


「武井くんって、あの人と仲良いの!?あの人の名前知ってる!?学年とか、クラスとか!」



責め入る勢いでたくさんの質問を武井くんに浴びせる。

最初は何故か話すのを渋っていた武井くんも、私の剣幕に圧倒されたのかすべてに答えてくれた。



この日を境に私は、彼が織部功希という名前であり、3年生ではなく、2年生であるということ。

そして、武井くんに対して先輩への相談を持ちかけ、協力をしてもらうという一方的な関係が始まったのだった。