「黙ってても分からないんだけど」


連れ出した莉乃に人のあまり居ない場所で質問すれば、だんまりを決め込まれる。


「………言えないようなこと、あいつとしたの?」

「してないっ!」



バッと顔を上げた莉乃の頬をここぞとばかり挟んで固定すれば、頑張って視線だけ俺から外そうとしてさまよわせている。

その間抜けさについつい笑みがこぼれた。



「言わないと、どうなるか分かってる?」


顔を固定したまま耳元で囁けば、ぴくりと跳ねる体。

もう大丈夫か。と手を離せば、思った通り莉乃は顔を逸らそうとはしなかった。