「何我慢してるの?」
そう口を開いた先輩に、一瞬何を言ってるのか分からなくなる。
「食べたかったんでしょ?」
加えてそう言われれば、バレてたってことが恥ずかしくてふいっと目をそらした。
「我慢して後で後悔されても困るんだけど」
「あ、えっと、じゃあその……買ってもいいですか?」
「良いって言ってるでしょ」
「バカ」と一言言った先輩の顔は、いつも私に「バカ」って言うときの顔じゃなくって。
目を細めて私を見る先輩に恥ずかしくなった私は「買ったらすぐ戻るのでここにいてくださいっ!!」と逃げるように元来た道へと戻る。
そんな精一杯の私には、先輩の静止を促す言葉なんて全く耳に届いていなかった。



