私の意地悪な旦那様


「莉乃の両親、良い人たちだったね」


「うん……」



俯きながら頷けば、私の隣を歩いていたはずの先輩の気配が消える。

あれ?と立ち止まって後ろを向けば、まっすぐと私を見据える先輩がいた。


「何?不安なの?」


私の心を読みとるような発言に、つい動きが止まる。

慌てて否定してみるけれど、先輩にとってそんなのは全く通用しなかった。