「功希くん……と言ったかな。……親が言うのもなんだけど、莉乃はバカで一直線で取り柄と言う取り柄はありません、みたいな子でね。
騙されて壷とか買いそうな子だから、正直変な男に引っかかったりしないか心配だったんだ」


「はい」


「それでも、根は優しくて明るくて、元気な子でね。良い子に育ったもんだと感動したものだよ」

「なぁ母さん」とお父さんが問えば「えぇ」とにこやかに微笑みながら頷いたお母さん。



「だからこそ、娘には幸せになって貰いたい。」


そう言ったお父さんの言葉を聞いて、黙ったまま涙を流す私の拳を先輩は再度握って口を開いた。