あの女の人、前に功希が熱で倒れたときに隣で支えてた人だ。
淡々と会話をする二人に、なんだか見てはいけないような気持ちになる。
さっきの呟きといい、功希の発言といい、もしかして……。
1度は否定したはずの考えなのに、また不安が募っていく。
行くよ。と腕を引かれて功希に連れられている間も、そのことで頭がいっぱいだった。
***
「これから、忘れ物だと思っても持ってこなくて良いから」
私たちの間に流れる沈黙を、呆れているような声で破る。
そんなに私に会社に来て欲しく無かったのかな。
それはあの女の人がいたから?
黙ったまま返事をしない私に「ねぇ聞いてるの?」と返事を求めてくる。
「………もう絶対行かないから」
そう言えば、何故か功希の足が止まった。



