「それ、没になった書類だったからわざと置いてったんだけど」
「えっ……あ、ごめんなさい」
機嫌が悪いらしく、いつもの数倍冷たい功希にさらに胸が締め付けられる。
しゅんと落ち込めば、隣にいた三上さんが慰めるかのように顔を覗き込んで笑った。
「まぁ今回はたまたまいらない書類だったから良かったものの、大事な書類だったら大変だったんだし!優しい奥さんで良かったな、織部」
「俺が忘れ物なんてするわけないでしょ」
吐き捨てられた言葉と、さっきの女の人の呟きが頭の中をぐるぐると回る。
「……こいつ送ってくから、あと任せていい?」
そう女の人に話しかけていた功希を見て、はっと息をのんだ。



