「ただいまうちの者が来ますので、しばらくそちらでお掛けになってお待ちください」


案内された椅子に座って、しばらくぼーっとして待つ。

功希は毎日ここでお仕事してるんだ。


有名なだけあって、かなり広く、綺麗な内装をしている。

どこか居心地が悪くもぞもぞとしていれば、「あの……」と声がかけられた。


「織部の奥様で間違えないですか?」


声の方を振り向けば、スーツをピシッと着こなしたインテリ系の男の人。

「あっ、はい」



てっきり功希が降りてくると思っていたから、つい慌ててしまった。