やっと来た!!
心底安心した俺とは対照的に「誰だ誰だ」と騒ぐ先輩や後輩たち。
莉乃の姿を目にした織部さんは、今までの喋り具合が嘘だったかのように急に口をつぐんだ。
「あ、功希いた!」
入り口の方から全体を眺めていた莉乃は声を上げてこちらへと向かってくる。
「莉乃………」
そう呟いてふらりと立ち上がった織部さんは、まるで甘えるかのように莉乃の肩口へと頭をこすりつけた。
「え、どうしたの?……というかお酒くさっ」
そりゃあそうとう強いの飲んでましたからね。
眉間にしわを寄せた莉乃に心の中で返答する。
「えっと、それじゃあ連れて帰るから、お金後払いでも良い?」
そう申し訳なさそうに言った莉乃に頷くと「ありがとう!」と言い残し、織部さんを支えながら店を後にした。



