「その手の……どうしたの?」
ふと詩織さんの目線の先を追えば、指の傷が目に映る。
じんわりと血が滲んだそれを見て、絆創膏でも貼らないといけないなぁ、と思いつつも詩織さんにさっき噛まれたこの傷について軽く説明した。
「ってことは、その傷は織部君につけられたってことなのね…」
意味深そうに言う詩織さんにこくりと頷く。
何か深い意味でも…?と首を傾げれば、何故か頭を撫でられた。
「可愛い莉乃ちゃんに、良いこと教えてあげる」
こそこそと耳元で言われた言葉に、だんだんと顔に血がのぼってくるのを感じた。
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