そう聞かれた瞬間、俺は口ごもった。
「どうって・・・どういう意味?」
「いや、京ちゃんはそんなこと、本当にしていいと思うん?」
していいかどうかなんて、常識的に考えたら、してはいけないだろう。
学校もあるし、警察沙汰にもなる。
母さんの嫌いな、人に迷惑をかけることにもなる。
でも、九の気持ちもわからなくもない。
東京から急にこんな田舎に連れてこられて。
俺の場合は、ずっと田舎育ちだったから、そういうことは思ったことないけど、
九と同じ立場だったら、俺もそう思うだろう。
どうすればいいのだろうか。
「京ちゃん。気持ちはわかるけど、やっぱり、それはやっちゃだめなことじゃと思うんよね。その子のために京ちゃんが他にできることってないんかね?」
他にできること・・・
九の望みを叶えてあげること以外でか?
「友達じゃったら、京ちゃんにしかできんこと、あると思うよ。それを考えてあげて」
そう言って、「あ、夏休み行くけんね」と付け加え、有希お姉ちゃんは電話を切った。
九もダメだったと気付いたみたいだった。



