「ええ!?あるの?誰々?」
「従姉のお姉ちゃん」
そう。
伝というのは、広島に住んでいる従姉の有希お姉ちゃんだ。
中原有希(なかはらゆき)。現在大学一年生の俺の従姉だ。
去年の夏、この家に泊まり込んでいて、写真が趣味で歌がうまい。
よく小さい頃から遊んでもらっていて、俺にとってはお姉ちゃん的存在だった。
今年の4月から広島にある国立大学へ合格。
今は学校の先生の勉強をしているらしい。
それにしても、夏休み遊び放題していたのに、よく国立に受かったなと
親戚一同驚いていた。
大学生だから、お金も持っているだろうし、広島の市内はここよりはずっと大きくて都会だ。
つまり、九の望むような暮らしはできるだろう。
「つまり、その有希さんって人に頼めば交通費や食費、運よく行けば、住む場所も見つかるってことよね?」
「うん。そうなるね」
「よし、じゃあ、電話して」
「え?でも、一人暮らししてて、番号わからんし・・・」
「それは、有希さんのお母さんとかに聞けばわかるでしょ?馬鹿なの?」
いちいち腹が立つ。



