ハンズ

鞄どころか、財布さえも持っていなかった。

その首からはIDカードが1つ提がっていて、それを頼りにここまでたどり着いたのだった。



俺の顔を見て兄貴の名前を呼んだ、その少女。

Oサナトリウムに入院している彼女が、何故あんな線路道に倒れていたのか。