あと、11分



***


俺は、今日の記憶を頼りに非常階段、空き教室、自分の教室を走って回った。見つかりっこいないって、どこかで分かってたのに、無駄だって分かってたのに、どうしても信じたくなかった。


シキと似た後姿を見つけるたびに、肩をつかんで呼び止める。でも、振り返ったやつらはみんな、シキじゃない。


シキは、一年生だと言っていた。

なら、もしかしたら───今日会えなくなって、明日は逢えるかもしれない。あの不器用な笑顔が、また見れるかもしれない。


一階まで下りて、階段降りてすぐの教室、6組のドアを開けた。ちらほら生徒が残って何か準備をしているようだった。でも、そんなことは頭の中には入ってこない。

すぐ近くにいたやつが俺に気づいた。心配そうに俺の顔を覗き込みながら、


「どうした?」


そういう、そういう同情の瞳を向けられることが、嫌だった。


言いたくない、こんなことしたら、してしまったら、俺の中にいるシキが壊れてしまう。