(───ああ、そっか。俺、夕雨の手振り払って)


「ねえ、スイ?大丈夫」


大丈夫?

別にどうってことない、もしかしたらふらっとどこかに消えてしまっただけかもれしないそうだ、だから、大丈夫、大丈夫……本当に?






もしかして、本当に、消えてしまったとしたら?







「───が、」

「え?」

「シキが、」


声が震える。

泣きたいわけじゃないのに、視界が自然と霞んで、もう何も見えない。


「シキが、いたんだ……っ」


いた。確かに、ここに。

ここに、ちゃんといたんだ。