*** いたはずなんだ。 確かに、いたはずなんだ。 シキは、絶対に、いたはずなんだ。 俺と話して、俺と笑って、俺と遊ぶって。 いたんだ、絶対に。絶対に。 なのに、どうしてこんなに焦って、不安になる? 「……ちょっと、大丈夫?」 「あ、」 夕雨が俺の顔を覗き込んで、そっと手を伸ばしてくる───ぱしん。 耳元で、音がした。 なんだ、と思って顔を上げると夕雨が、目を見開いて手の甲を押さえながら俺の名前を呼ぶ。 どうしてそんな顔しているのか、最初は分からなかった。