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もとより、幽霊を信じるような年ではない。
スプラッタ好きの凪が収集して、俺にことあるごとに話すのが好きなので廊下から教室までの道のりで俺はこの学校の七不思議について知った。
自殺した幽霊───どうやら、凪情報だと本当に〝あった〟らしい。
数年前だか、数十年前だか、分からないけれど。
この学校の屋上のすぐ近くの階段から滑り落ちて、落下。そのあと亡くなったらしい女生徒がいる。学校で自殺しようが、どこで自殺しようが事件でもない限り、新聞にも取り上げられない。
だから詳細を知る人物は少数しかいないのだと。
それから、開かずの窓、笑い声の聞こえるプールサイド、月光が流れる音楽室、すすり泣く教室、足音の鳴る廊下などなど。
6つしかないけど、とツッコむと凪は困ったように笑った。それだけしかわからなかったらしい。
けれど、不思議なことにその噂が実しやかに囁かれる様になったのは、その少女が自殺した次の日かららしい。
だから、これは自殺した少女がなんらかの怨念を持っていて、夜になると徘徊して誰かを呪い殺そうとしているのではないか、とそういうことだった。



