チョークをつかむ指に力がこもる。 それから本当に小さな小さな文字で───書いた。 『スイと行ってきます、シキ』 書き終えると、シキはゆっくりと手を下げて。 それからその文字を見て、小さく微笑んで嬉しそうに微笑んで俺を見上げた。 「ありがとう」 何度目かのシキのありがとう。 それは、夕雨に言われるより、凪に言われるより、家族に言われるより、誰よりも───嬉しかった。