「いいなぁ……」
そう、呟いた。
本当に羨ましいと思っているけれど、でも自分にはできないとあきらめているような───そんな寂しいつぶやき方。
なんだか、シキが遠くに見えた。霞んで見えた。
少しだけ不安になって、こんなに近くにいるシキがどうして遠くに感じたのかはわからないけれど、とにかく嫌だった。
どうしても、嫌だった。
誤魔化すみたいに、この不安な気持ちを消し去るみたいに、俺はゆっくり彼女の後ろに回る。シキはまったく気づいていない様子だった。
「おらっ」
その掛け声とともに、シキの頭にタオルを被せる。まるでデフォルメされた幽霊みたいになったシキは、びっくりしたのか、
「っ、わ」
小さく声を上げて足をふら付かせる。
(あ、やばい)



