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廊下を渡るとき通りすがる生徒に、クラスメイトがいるんじゃないかとびくびくしながら1-5までやってくると、それは取りこし苦労だったわけなんだけれども。
まず、教室が真っ暗だった。
窓から誰かにばれるかもと、腰を低くしながらそっと教室を覗くと、黒いペンキと段ボールが教室いっぱいに広げられたままで、人ひとり影が見当たらなかった。
「誰もいねーじゃん」
さては帰ったか。
俺に仕事押し付けて帰ったとかならホント許せない、裁判だ裁判。
なんて冗談めかしに心で思いながら、後ろでおどおどしながら周りを見渡しているシキに、
「誰もいないから大丈夫」
「……ふふ」
「どした」
「なんだか、探偵見たいだな、って。子供のころ、こんな遊びしなかった……?」
「俺自慢じゃないけど子供のころからインドア派だから」
「もう」
「さーせん」
俺はゆっくり立ち上がって、教室のドアを開ける。



