あと、11分


***


廊下を渡るとき通りすがる生徒に、クラスメイトがいるんじゃないかとびくびくしながら1-5までやってくると、それは取りこし苦労だったわけなんだけれども。


まず、教室が真っ暗だった。

窓から誰かにばれるかもと、腰を低くしながらそっと教室を覗くと、黒いペンキと段ボールが教室いっぱいに広げられたままで、人ひとり影が見当たらなかった。


「誰もいねーじゃん」

さては帰ったか。

俺に仕事押し付けて帰ったとかならホント許せない、裁判だ裁判。



なんて冗談めかしに心で思いながら、後ろでおどおどしながら周りを見渡しているシキに、


「誰もいないから大丈夫」

「……ふふ」

「どした」

「なんだか、探偵見たいだな、って。子供のころ、こんな遊びしなかった……?」

「俺自慢じゃないけど子供のころからインドア派だから」

「もう」

「さーせん」


俺はゆっくり立ち上がって、教室のドアを開ける。