あと、11分



───思わず、息を呑む。




「ぁ、……」


シキが、泣きそうなくらいに黒縁の瞳にたくさん涙をためて、口元を震わせる。

今にも泣きそうなほどに、たくさんの滴が零れ落ちてきそうで。



「シ、シキ」

「っ、なんでも、ない……なんでもない、から」



俺が声を掛けると、シキは涙いっぱいためた瞳を何度も瞬かせて、それでも引っ込まない涙を強引に制服の袖で拭う。



どうして、彼女が泣きそうになっているのか。

俺には分からなかった。


でも、たった一つだけわかるとしたら、彼女は───




「あり、がとう」



俺と同じくらいに、不器用だということ。