「今日のスイは、いじわる」
「そりゃすいませんね」
俺は拗ねたように口を膨らませるシキの頭をぽんぽん、と撫でてやる。
そうすると、シキは怒った表情みるみる困ったように赤くなって、なんにも言わなくなってしまった。同い年とは思えない。
もう一度小さく笑った後、
「俺の鞄ん中、でっかいタオルあるから取ってきてやるよ」
「……ぁ、うん」
すっと撫でていた手を離した。一瞬だけ、シキがはっと我に返ったみたに寂しげな表情を浮かべて、でもそれはすぐにあの柔らかい笑みへと変わる。
「……あーでも、今教室戻ったら絶対、文化祭の準備に駆り出される」
今頃黒いペンキで段ボールを塗りたくっているクラスメイトの姿が頭に浮かんで、苦笑。
きっと丸腰で言ったら連行されて仕事を押し付けられるに違いない。
……さて、どうしよう。
取りあえず、教室まで行ってみないと分かんないか。



