あと、11分




一人で、たった一人で泣いて、逢えないことにもう声を聞くことも、顔を見ることも、手に触れることもできないそんな奴のために、シキは……待って、待って、待ち続けていた。


「……ばっかじゃねぇの」



……言って後悔した。


こんな言葉、言っちゃいけないことくらい、分かっていたはずなのに。

シキを一番傷つける言葉しか、出てこなかった。腹が立ってしまったんだ。多分。



あんなにシキを泣かせて、結局逢いにすら来なかった誰かに、嫉妬してしまった。

情けない話だと、思う。

まだ話して数分ほどの彼女にどうして、こんなに自分の中に入ってくるのかが分からない。



でも、許せなかった。


シキは、その言葉に一度悲しそうに声を詰まらせて、


「……そう、かもしれない」


小さく震える子犬のように、か弱く呟いた。