一人で、たった一人で泣いて、逢えないことにもう声を聞くことも、顔を見ることも、手に触れることもできないそんな奴のために、シキは……待って、待って、待ち続けていた。
「……ばっかじゃねぇの」
……言って後悔した。
こんな言葉、言っちゃいけないことくらい、分かっていたはずなのに。
シキを一番傷つける言葉しか、出てこなかった。腹が立ってしまったんだ。多分。
あんなにシキを泣かせて、結局逢いにすら来なかった誰かに、嫉妬してしまった。
情けない話だと、思う。
まだ話して数分ほどの彼女にどうして、こんなに自分の中に入ってくるのかが分からない。
でも、許せなかった。
シキは、その言葉に一度悲しそうに声を詰まらせて、
「……そう、かもしれない」
小さく震える子犬のように、か弱く呟いた。



