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彼女との初めての会話は、自己紹介から始まった。
自分の好きなもの、嫌いなもの、お気に入りの本から、いろんな話をした。シキは熱心に俺の話に耳を傾けてくれたけれど、ふとした合間に彼女はとても寂しそうな瞳で俺を見上げながら、口元を綻ばせる。
それから、シキは何か困ったように黒い瞳を揺らしながら、
「スイくんは、」
「スイでいいよ」
「……うん」
顔を伏せてしまう。
いきなりすぎたか、と後悔したけれどふと見えた彼女の口元が自然にほころんでいるのを見て、どきりとしてしまった。
……なんかなぁ、調子が狂う。
時折見せる、切なげな表情が、心臓をばくばく言わせて必要以上に彼女から視線をそらしてしまいそうになる。



