忍ばせるような、ひっそりとした声で彼女は何度も謝った。
誰にだかは分からないけれど、何度も何度も。
雨の音と混じって、それは時折消えてしまいそうなほど、脆くて弱弱しい懺悔だった。
それを聞いていると、俺まで心が張り裂けそうに痛んで息が苦しくなる。彼女は、一体誰に謝ったのだろう。
しばらくした後、かちゃっと控えめにドアのカギが開く音がして、ゆっくりドアが数センチだけ開いた。
どきどきした。
多分、こんなに緊張したのは初めて受けた受験の発表の前日くらい。
その隙間は次第に大きくなっていく。
それから、泣きはらした瞳が覗く。
「……初めまして」
彼女は、透き通る雨の寂しい声音のようにひっそりとつぶやく。
「初めまして、わたしは───シキ、といいます」



