あと、11分




忍ばせるような、ひっそりとした声で彼女は何度も謝った。


誰にだかは分からないけれど、何度も何度も。

雨の音と混じって、それは時折消えてしまいそうなほど、脆くて弱弱しい懺悔だった。



それを聞いていると、俺まで心が張り裂けそうに痛んで息が苦しくなる。彼女は、一体誰に謝ったのだろう。


しばらくした後、かちゃっと控えめにドアのカギが開く音がして、ゆっくりドアが数センチだけ開いた。

どきどきした。


多分、こんなに緊張したのは初めて受けた受験の発表の前日くらい。


その隙間は次第に大きくなっていく。


それから、泣きはらした瞳が覗く。



「……初めまして」


彼女は、透き通る雨の寂しい声音のようにひっそりとつぶやく。




「初めまして、わたしは───シキ、といいます」