あと、11分




ここでなにしてんの?

確かそのセリフは、数十分前に、非常階段で彼女に話しかけたときのものだった。

雨も降っているのに、校舎にも入らずにひとりでに泣いていた彼女。


「…………何してるのか、って」

「ああ」


俺ははっきりと、返事をした。


「雨が降ってるのに、って」

「……ああ」

「知らない、の」

「……え?」


声が、震えていた。

何かを言いかけたけれど、結局、シキはその言葉すら飲み込んでしまう。



それだけ聞くと、しばらく押し黙ってシキはすべてを理解したかのようにはは、と小さく小さく今にも泣きそうな声で笑った。