あと、11分




何も知らない、今さっき会った人のはずなのに。

何も知らない、記憶にすらない人のはずなのに。


俺は、必死に呼びかける。視界が、ぼやけて声が震えて伝えたい言葉の半分も言えない。






「シキに、逢いたい……っ」







数秒、数十秒、ずいぶん長い時間だったと思う。



ああ、駄目だと拒否されたんだと、唇を強くかみしめた、そのとき。