彼女は、その言葉に一度びくっと華奢な肩を震わせた。

ぽつ、ぽつ、と時折上の階から流れ落ちる滴が制服の肩を濡らしていく。それを払いながら、彼女が泣き止むのを待っていた。

何も反応がない。


怖がられてたら、と不安になって肩から視線を戻したとき───、


「───」



視線が、合った。

声が出なかった。


真っ白な、不自然なほど白く浮き出た肌。

艶やかな黒髪と同じ、潤んだ漆黒の瞳は震えるたび、涙をいっぱいためて今にも零れ落ちそうで。

制服から覗く華奢な手足は、今にも壊れてしまいそうなほど頼りない。

不安げな眉が一層、彼女を儚く、脆くさせていた。


触れればたちまち傷ついてしまう、夜の暗闇でひっそりと白く咲く夕顔みたいな───そんな、印象を持った。