でも、手を伸ばしても、それは届かない。そんな、夢。 その夢を見ると、俺は決まって─── 「スイー」 「ふああ、あ」 「ちょ、どうしたん」 時計を見ると、もう12時30分。 何気なく見た前の席は、いつの間にか凪が腰を下ろしていて、ポッキーを口にくわえたまま呆然と俺を見ている。 「……何?」 「い、やなんかスイ怖い夢でも見たん?」 「は?」 「なんで泣いてんのさ」 手の甲でごしっと吹いた。確かに濡れている。俺は、泣いているらしかった。 「あーなんか、眠くて」 「眠くて大号泣とかお前」