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やはり、マフラーを持ってくるべきだったと後悔した。

道行く人々は寒そうに背中を曲げながらせっせと、白い息を吐きながら走っていく。


(くっそう、二度とあの天気予報を信用しない)


12月は、まだ雪は降らないものの、かなり気温は低かった。

寝起きの体にはかなり沁みる。寒すぎる。くっそう、二度と見ないからな。


天気予報で今日日中温かな日差しがあるでしょう、なんて爽やかに言っていたニュースキャスターの顔を思い浮かべて、俺は一歩踏み出した。



(……また、だ)

下駄箱を開けると、いい加減見慣れてきたものが目に入る。

スリッパの上に置かれた、白い手紙。

宛先なし、差出人不明、開いてみても、中は何も書かれていない白紙。俺はそれをいつものように鞄にしまいこんで、冷たい床を足踏みしながらスリッパに履き替える。


いい加減、うんざりするような日常が日々過ぎていく。

また明日も同じように繰り返されるのかと思うと、反吐が出そうだ。


いつもと同じように自分の席に座って、ぼうっとそとを見る。教室は暖房がついていて温かいので、出る気にもなくなる。もともと暑かろうが寒かろうがそんなに出ないけど。


「まーた授業中寝てたでしょう、スイ」