って言っても、もうお昼過ぎだけどね。とシキがお姉さん口調でそういった。


「シキは、今、暇?」

「……うん」

「じゃあさ、ちょっと回らない?」


シキが、何か躊躇うように俺を見上げる。その顔は、一瞬泣きそうになった気がして。


その顔が、俺をいつも不安にさせる。

いつか、彼女が忽然と消えてしまうんじゃないかって、不安にさせる。


彼女の手を離さないようにと強く握って、


「行こうか」



触れた彼女の手は、とても冷たくて、そして残酷だった。