思わずいつものように呼んでしまった。


でも、何で香澄と夕雨が一緒に?

朝のことを思い出す。もしかしたら、シキのことで何かあったかもしれない。いてもたってもいられず、俺は引き留めようとする凪の手からすり抜けて、シキを探し始めた。


いや、探すまでもなかった。

こんなに人ごみがあるんだから、と周りをかき分けようとしたその時。




「───スイ」


後ろから呼び止める声がした。

俺ははじかれたように振り返る。ふわりと、笑う彼女の笑顔を見て、ほっとした。


「はよ、シキ」

「うん、おはよう」