あと、11分


それから、ずうっと書かれているのは2891という人物のことばかりだった。

すっとなぞる。2891。




「……あ、れ」



ノートに染みができていた。

それは、ぽつ、ぽつ。とだんだん広がって───俺はそっと、自分の頬に手をやる。


涙。


俺は、泣いていた。

何故か、泣いて、泣いて、泣いていた。


「ぁ、あ、っく、う、うぅううう」


ノートを抱きしめる。

力いっぱいに。


何で、こんなに苦しいんだろう。何で、何で。


もう一度ノートを開いた。