あと、11分



「と、とにかく。とかにく!」

「とにかくね」

「話が終わったのならさっさと教室来なさいよ、分かった!?」


俺の返事も聞かないで、夕雨は足早に走り去っていってしまった。こけるぞ。


「今の、誰」

「あー幼馴染」

「うるさい人だね」

香澄はあんまり得意なタイプではなかったらしい。

「はは、まあ確かに」

小さく笑いながら、夕雨の顔を思い浮かべる。不器用で、気難しいところもあるけれど、まあいいやつなのだ。


「……あの人、」


隣で、香澄が目を細めた。

唇に指を当てて、何やら考えている様子だった。